令和8年度全国発明表彰で「文部科学大臣賞」を受賞
JCRファーマ株式会社(代表取締役社長:薗田 啓之)は、令和8年度全国発明表彰(主催:公益社団法人発明協会)において「バイオ医薬品を脳に届ける技術の発明」が「文部科学大臣賞」を受賞したことをお知らせします。
全国発明表彰は、多大な功績を上げた発明・考案・意匠、あるいはその優秀性により今後大きな功績をあげることが期待される発明等を表彰するものです。日本の科学技術の向上および産業の発展に寄与することを目的として、発明協会が皇室からの御下賜金を受けて毎年開催しています。
今回受賞した「文部科学大臣賞」は、科学技術的に秀でた進歩性を有し、かつ顕著な実施効果を上げている発明などを対象とする第1表彰区分において授与される特別賞です。
今回の受賞は、バイオ医薬品を脳に届けるために用いるドラッグデリバリー技術の発明が高く評価されたものです。脳は血液脳関門というバリア機構によって保護され、薬物の送達が制限されることから、脳への薬物送達技術の開発は中枢神経系治療における長年の重要課題とされてきました。本技術(J-Brain Cargo®技術, 特許6797148号ほか)は、その課題を解決するための重要なブレークスルーであり、日本ではすでに希少疾病であるライソゾーム病治療薬として実用化されています。現在はグローバルでの開発も進行しており、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患をはじめ、神経炎症性疾患や神経腫瘍などへの幅広い応用が期待されています。
当社は今後も有効な治療法のない患者さんとそのご家族の期待に応えるため、研究開発を推進し、新たな可能性を切り拓いてまいります。
受賞概要
受賞者(本表彰の受賞時点の役職)
- JCRファーマ株式会社
代表取締役社長 チーフサイエンティフィックオフィサー 薗田 啓之 - 同社
サイエンティフィックエキスパートフェロー 先進バイオ医薬研究所長 髙橋 健一
受賞名称
バイオ医薬品を脳に届ける技術の発明
受賞発明の概要
本発明は、バイオ医薬品を脳に効率よく届けるために用いるドラッグデリバリー技術であり、具体的にはトランスフェリン受容体(TfR)に対する新規な抗体、およびこれを利用した医薬品に関するものです。
ヒトの脳には血液脳関門と呼ばれる防御機構が備わっているため、バイオ医薬品のように分子の大きい薬物はこの関門を通過できず、脳への治療薬デリバリーの大きな課題となっています。本発明であるTfRに対する抗体は、鉄分を取り込むために脳が元来備えている機構を利用し、鉄分と一緒に脳へと取り込まれることができ、かつ受容体本来の機能を阻害しないように設計されています。本技術を適用した医薬品が2021年に本邦で製造販売承認を取得し、これは、血液脳関門通過技術の実用化において世界的にも先駆的な事例となりました。
本発明は、核酸、脂質ナノ粒子、遺伝子治療など多様なモダリティへと応用可能であり、新規治療薬の創出という社会実装を推進するため、国内外のさまざまなパートナーとの連携が進んでいます。


J-Brain Cargo®技術について
当社が独自に開発した血液脳関門通過技術であり、中枢神経系にバイオ医薬品を送達することを可能とする。本技術を世界で初めて適用した医薬品として、ムコ多糖症 II 型治療剤「イズカーゴ®」(国際一般名:パビナフスプ アルファ)が日本で実用化されている。
J-Brain Cargo® | JCRファーマ株式会社
ライソゾーム病について
細胞内のライソゾームと呼ばれる小器官において、不要物質を処理する役割を持つ酵素や、生体膜を通してそれら不要物質を輸送するタンパク質等が、遺伝子異常により欠損や発現低下していることにより、本来代謝されるべき物質が過剰に蓄積し、細胞や組織に障害が生じる疾患群。症状は蓄積する物質によって様々であり、その多くの疾患で中枢神経症状を伴う。
本件に関するお問い合せ先:
JCRファーマ株式会社 経営戦略本部 広報・IR室
ir-info@jp.jcrpharm.com