デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬givinostatの国内開発計画に関するお知らせ
JCRファーマ株式会社(代表取締役社長:薗田 啓之)は、日本におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬givinostat(以下、本剤)の開発について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との対面助言を実施し、その結果を踏まえて今後の開発計画を以下の通り決定したことをお知らせします。
■国内開発計画
- 海外で実施された臨床試験成績を主要な根拠として、2026 年内に日本における本剤の製造販売承認申請を行う
- 2027年内に承認を取得し、販売を開始する
- 本剤の製造販売承認申請とは独立した位置付けとして、薬物動態および安全性の評価を目的に日本人DMD患者を対象とした臨床試験を実施する
本剤は、Italfarmaco S.p.A.より当社が導入した DMD 治療薬であり、米国、EU、イギリスを含む複数の国々で既に承認され、6 歳以上の DMD 患者に対して各国の添付文書に則り処方されています。昨年12月に発表した通り、日本においては当社が開発および商業化に関する独占的ライセンス権を有しています。 本剤は、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害を作用機序とする経口剤であるため、DMD患者に対してジストロフィン遺伝子変異に依存せず使用することが可能です。
当社の代表取締役社長の薗田 啓之は次のように述べています。
「PMDA との相談結果を踏まえ、このたび具体的な開発計画を決定しました。海外において既に有効性および安全性が評価され、欧米を含む複数の国で承認されている本剤について、海外臨床データを活用した開発戦略により、日本の DMD 患者さんへより早期にお届けできる見通しとなったことを大変意義深く受け止めています。アンメット・メディカル・ニーズの大きいDMDという疾患に対して新たな治療選択肢を提示できるよう、2027年内の承認取得および販売開始を目指して開発を推進してまいります。」
当社は、今後も有効な治療法のない患者さんとそのご家族の期待に応えるため、研究開発を推進し、新たな可能性を切り拓いてまいります。
なお、本件に関する今期(2027年3月期)の当社連結業績への影響は軽微です。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、DMD 遺伝子の変異によって引き起こされる稀な進行性神経筋疾患である。DMD 遺伝子の変異は機能的なジストロフィンの産生を阻害し、ジストロフィン関連タンパク質複合体(DAPC)の崩壊を引き起こす。これにより筋線維は損傷を受けやすくなり、筋細胞内のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)レベルが上昇する。筋維持・修復に必要な重要遺伝子の活性化が阻害される。結果として筋線維は持続的な損傷を受け、慢性的な炎症と再生不良を引き起こす。時間の経過とともに筋細胞は死滅し、瘢痕組織や脂肪組織に置き換わる 1-4 。DMD は主に男性に発症し、症状は通常2~5歳に現れる。病状が進行するにつれて筋力低下は悪化し、歩行困難、最終的には歩行不能に至る。やがて心臓や呼吸筋も影響を受け、これらが早期死亡の主な原因となる 5 。DMD は小児における筋ジストロフィーの中で最も重篤かつ頻度の高い病型の一つであり、世界的な出生時発症率は男児約5,050人に1人とされる 6 。日本におけるDMD患者数は約3,500人と推定される 7 。
givinostat
givinostat(欧米での販売名:Duvyzat®)は、Telethon(イタリアの非営利活動団体)やDuchenne Parent Project(イタリアの患者会)との協業を通じたItalfarmacoの研究開発により見出されたヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤であり、経口投与で使用される。DMDの筋肉に特徴的なHDACの過剰活性を調節することで、筋肉の維持および修復に不可欠な主要遺伝子や生物学的プロセスの発現回復を促進するという、DMD の原因となるジストロフィン遺伝子変異の種類に依存しない作用機序を有する。
Italfarmaco S.p.A.
1938 年にイタリアのミラノで設立され、世界中で数多くの医薬品の開発と承認を成功に導いてきた非上場のグローバル製薬企業です。Italfarmaco グループは、直接または関連会社を通じて90ヵ国以上で事業を展開しています。医薬品の研究、開発、製造、および商業化の分野でリーダーシップを発揮し、免疫腫瘍、婦人科、神経科、心血管疾患、希少疾病を含む多くの治療領域で実績を確立しています。Italfarmaco の希少疾病部門では、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、真性多血症を対象としたプログラムを展開しています。
参考文献
1. Sandonà M, Cavioli G, Renzini A, et al. Histone Deacetylases: Molecular Mechanisms and Therapeutic Implications for Muscular Dystrophies. Int J Mol Sci. 2023;24(5):4306. https://doi.org/10.3390/ijms24054306.
2. Consalvi S, Saccone V, Giordani L, Minetti G, Mozzetta C, Puri PL. Histone Deacetylase Inhibitors in the Treatment of Muscular Dystrophies: Epigenetic Drugs for Genetic Diseases. Mol Med. 2011;17(5):457–465. https://doi.org/10.2119/molmed.2011.00049.
3. Bez Batti Angulski A, Hosny N, Cohen H, et al. Duchenne muscular dystrophy: disease mechanism and therapeutic strategies. Front Physiol. 2023;14:1183101. https://doi.org/10.3389/fphys.2023.1183101.
4. Giuliani G, Rosina M, Reggio A. Signaling pathways regulating the fate of fibro/adipogenic progenitors (FAPs) in skeletal muscle regeneration and disease. FEBS J. 2022;289(21):6484–6517. https://doi.org/10.1111/febs.16080.
5. Walter MC, Reilich P. Recent developments in Duchenne muscular dystrophy: facts and numbers. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2017;8(5):681–685. https://doi.org/10.1002/jcsm.12245.
6. Crisafulli S, Sultana J, Fontana A, Salvo F, Messina S, Trifirò G. Global meta-analysis. epidemiology of Duchenne muscular dystrophy: an updated systematic review and Orphanet J Rare Dis. 2020;15(1):141. https://doi.org/10.1186/s13023-020-01430-8.
7. 川井 充. デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者は日本に何人いるか. 脳と発達. 2013;45(Supple.):S324.
本件に関するお問い合せ先:
JCRファーマ株式会社 経営戦略本部 広報・IR室
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